「基礎の解説」のまとめ

ここまでで、心や心の苦しさを理解する上で必要な基礎的な部分は説明できたと思います。
それらと、心の苦しさの解決へのアプローチとの関係は、次のようになります。
慢性的な心の苦しさ
慢性的な心の苦しさは、泣く・喜ぶといった自然な感情の排出行動を行えば、解消します。
そして、何らかの感情が生じたとき、都度、実践すれば、楽な気持ちを取り戻すことができます。
これは、「学習によって身に付いた条件反射」によって我慢するようにコントロールされている時には、非常に勇気の要る行動です。
また、すぐに解決策を考え始める人は、その相手としてふさわしくありません。
ただただ、「そうかそうか」的に話を聞いてくれる人を見つけることが大事です。
解釈
解釈については、思いつくのは認知療法的なアプローチといえます。
はっきりは知らないのですが、カウンセラーによって、
- 社会に適用させることが目的の場合、基準は「社会一般の感覚」
- 自分自身に適用させることが目的の場合、基準は「本人の気づいていない本当の気持ち」
に分かれるような感じがしています。
「基準を社会一般に置いた認知変容の努力」は、心に苦しさを抱える人は、これまでも自分自身でやってきているところがあると思います。
基準としている社会的な感覚に妄想がある場合は、前者は効果的だと思われます。
ただ、実社会側に社会的妄想があり、それが関わるテーマにアプローチするときは、手法としては妥当ではないと思います。
後者は、例えば、次のような感じです。
- コップに半分も水がある
- コップに半分しか水がない
このような認知の違いは、その人の認知の問題というよりは、その人を取り巻く背景によって変わってくるものです。
その背景を理解しないで砂漠のど真ん中にいる人に、暗示注入的に「コップ半分も水がある」と思い込ませようとしても、それは無理なことです。
逆に、近くに水道があると思えば、「コップに半分も水がある」と思えるでしょうし、砂漠のど真ん中に居れば「コップ半分しか水はない」と思うのも当然です。
- ところで、そこは本当に砂漠ですか?
- あなたにとっての本当の砂漠とは、どこのことなのでしょう?
自分の近くにないと思っていた水道があることに気づけば、「コップに水が半分もある」とか「私には水道があるから、コップは要らない」という具合に、自然に認知も変わります。
学習によって身に付いた条件反射
これには、行動療法的なアプローチが適切だと思います。
また、催眠療法というアプローチもありますが、これは「催眠」という特殊なことを行うというよりは、イメージの中での擬似行動体験を活用するアプローチ、すなわち行動療法的はアプローチだと考えた方が良いと思います。
「学習によって身に付いた条件反射」とは、過去の経験によって
- 独特に意味づけされた言葉
- 独特に意味づけされた状況
- 自分の内部に生じる感覚や感情 (自分を振り回す気分・・・)
- それらによって引き起こされる反応的な行動 (起こしてしまう行動、できない行動・・)
などにコントロールされてしまって、自分らしく存在したり、考えて行動したりできなくなっている状態です。
この部分は、根深いところがあり、容易には解放されないものも多くあります。
まずは・・・
細かく書くと複雑になってしまうのですが、
まずは、『心を回復する機能』への封印を外すことが大事です。
それだけでも、随分、楽になるはずです。
次のページ以降は、このうち、『学習によって身に付いた条件反射』に絡んだ心理療法的な話をしていきます。