不要な学習を最小限に留めるために

ここまで数ページにわたって、学習機能の中でも自己防衛に関する学習を中心に説明してきましたが、もう少し、学習に関する説明を続けたいと思います。
自己防衛に関する学習の目的は、過去と同じような苦境に陥らないようにすることです。
そして、苦境に陥りそうな感じがする状況・雰囲気などを察知すると、過去に学習した「それを回避できる可能性の高い反応」が自動的に起きるので、効率的な危機回避を実現します。
しかし、学習したことが多くなるにつれて、自動的な反応が生じる頻度も高まるので、考えるよりも前に反応が起きてしまうことも多くなってきます。
つまり、自分が思う通りには、なかなか行動できなくなるのです。
自分が思った通りに行動できないのですから、当然、心も苦しくなってしまいます。
ですから、学習することは、必要最小限であることが望ましいのです。
では、学習を必要最小限にするには、どうすれば良いのでしょうか?
上図の『最も大切な学習』とは、
- 「苦しい気持ちになっても、楽な気持ちを取り戻すことができた」という体験を繰り返すことで、「苦しい気持ちは○○すれば、簡単に楽になる」という予感を身に付けることです
ということです。
その方法は、不快を浄化する二次的体験と、不快を強化する二次的体験のところで説明した
- 大人(特に、親)に抱きしめられ安心に泣いた
- そして、つらい気持ちを話し、じっくりと聴いてもらった
- しばらくすると安心な気持ちを取り戻した
という体験を繰り返すことです。
(この対処方法のコツは、親に与えられた最大の権利 (サイト名 『 子育ての回想と試行錯誤と解釈 』 )を参考にして下さい。)
『最も大切な学習』がされていないと、人生の中で、
- つらい気持ちになると、容易に楽な気持ちを取り戻すことができない
- つらい出来事に出合うたびに、新しい学習を積み重ねる
- 過去と同様の出来事が起こったときは、過去の学習が更に強化される
- この学習の蓄積によって、心の苦しさは増し続ける
を繰り返すことになります。
『最も大切な学習』をしていると、人生の中で、
- つらい気持ちになっても、容易に楽な気持ちを取り戻すことができる
- だから、予防ための学習に、あまり、パワーを使わなくても済む
- 自由を縛る学習が蓄積されないので、心の苦しさも蓄積しにくい
ということになります。
次のページで、もう少し詳しく説明します。