心を楽にするために振り返る子育て

生命活動に関する「解釈」の例

3年ぐらい前に、National Geographic (ナショナルジオグラフィック )で、エベレスト登山の特集をやっていました。

その中で、凍傷になるメカニズムの説明があったのですが、それまでの自分の認識と全く違っていたので驚きました。

それまでの理解は、「手足が冷えすぎることによって細胞が破壊されて、凍傷になる」という感じです。

間違いとは言い切れない部分もあるのですが、でも、正しい理解とは程遠いものです。

番組では、次のような説明がされていました。

  1. エベレストの山頂付近は、気温が低く、また、酸素も薄いので、生命にとっては危機的な環境である。
  2. そんな環境を登山する中で、人の意識ではなく、人間という生命体が、何らかのきっかけによって危機を感じ取る
  3. 危機を感じた生命体は、生命を維持するために大切な体の中心部分(心臓や内臓など)を守ろうとする機能が働き始める
  4. その働きによって、全身の血液を、体の中心部に集めようとする
  5. 生命体は、「生命の維持」が最優先だと認識し、手足の指は、優先事項から除外される。
  6. その結果、手足の指への血液循環しなくなり、凍傷になる

そんな感じです。

正確ではないと思いますが、ここでと伝えしたかったのは、凍傷は「寒さの厳しい過酷な環境によって凍傷になってしまう」などという受動的なものではなく、「過酷な環境でも生存し続けるために、自らを凍傷にする」という主体的は反応だったということです。

少し話は違いますが、似たような話をもう一つ書きます。

昨年、子供が家のベランダでプチトマトを世話をしていました。

秋になったからか、世話を怠ったからかは定かではありませんが、だんだんとそのプチトマトが枯れていきました。

その様子を観察していて、はじめにした『凍傷』のことを思い出し、『枯れる』ということに対する理解が変わりました。

  1. まず、根っこに近い葉や茎から枯れ始めます。水分の不足しているときに、根元に近い部分で水分を大量に消費すれば、その先には、水分は供給できなくなるからでしょう。
  2. 根っこに近い部分から、だんだん先端へ向かって枯れていきました。
  3. そして、最後は、全体が枯れた状態となりました。

それまでは、この様子を「トマトがだんだんと枯れていった」と理解していたのですが、その観察によって、「あ、これはトマト自身が枯らしていったんだな」と理解しました。

私には、トマトという生命体にとって大事な部分はどこかは分かりません。(もしかしたら、昔、学校で習った『成長点』かも・・・)

でも、トマトは、きっと、その生命にとっての大事な部分を守ろうとしたのでしょう。

それを守るためには、たぶん、水分を大事な部分に送ることが最優先事項だから、その達成を妨害する部分を枯らせて切り捨てていったのだろうと思います。

このことから、「トマトは水をやらなかったら枯れる」という単純な言葉で済ませていたことを、もう少し正確に書くと、次のようになるのではないかと思います。

  • 生命としての存続を守るために、自らが自らを枯らせていく
  • 「生命として存続するために大切な部分」を守りきれなかったとき、最後に生命体としての死が訪れる

私のこの理解も、また、正しくはないかもしれません。

これらの例で、次のことを何となく理解して頂けたのではないかと思います。

  • 色々な現象は色々な解釈をすることが出来るということ
  • そして、私たちは、それを正しく理解していない(解釈していない)可能性があるということ

蛇足ですが、子供の頃は、風邪をひいて熱が出たら、「熱が悪者」というように思っていました。

でも、『熱』は病原菌を退治するために体が意図して出しているので、無思慮に解熱剤を飲んで熱だけ下げようとすると、病原菌が増えてしまい、逆に病状が悪くなる(=生命存続の危機に近づく)ということを知りました。

これも、解釈の違いの例になると思います。

最後に、もう一つの結論を書いておきます。

  • 生命体は、私たち人類が理解できようができまいが、生命を存続させるために正しく機能している

また、それは、心の働きも、同じと思います。

特に「心」に関しては、誤って理解してしまい、苦しさを解決できないだけでなく、逆に、苦しさを増大させてしまっています。

正しく理解できないのなら、無理に理解しようとしないで放っておいた方がマシだとさえ思えます。

しかしながら、今の社会には、誤った理解が、あまりにも蔓延してしまっています。

ですから、苦しみを抱えた人の心を守るためには、その誤解を解く必要があると考えています。

これが、私が、「解釈」についての説明をしている理由です。

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